まさかのコインロッカー争奪戦、そして財布は置き去り
出張で重い荷物を背負い、新大阪駅に降り立った私。
まず思ったのは「だるい、とにかくこのカバンをどうにかしたい」。
目的地は大阪モノレール沿いにある「万博記念公園」。
混雑が少ない、そして安上がりな「昔の万博」に行くことにしたわけです。
まずはコインロッカー。
これが旅の生命線ですよ。
改札外は当然満杯。
「よし、改札内ならいけるだろ」と淡い期待を抱いて行ってみれば、見事に満杯。
新大阪よ、お前もか!
そして事件は起こった。
ロッカー室から出ようとした瞬間、手ぶらの男性が颯爽と中へ。
この人が荷物を出すに違いない!と私はストーカーのように後をつけました。
案の定、ガチャリとロッカーが開き、私は滑り込むように手続きの機械の前に立ちました。
その瞬間、向こうから若い女性が鬼の形相で走って突っ込んできた!
あ、これ、マジな争奪戦だ。
一瞬の出遅れが命取り。
私が先にスタンバイしていたので、彼女は諦めたようですが、周囲の視線が痛い。
「このロッカーを狙っているヤツら」の熱い視線!
私はロッカーに入れる準備をしていなかったのに、このプレッシャーで急いで必要なものを小さいバッグに詰め込みました。
そして、焦りの結果、財布を入れ忘れました。
…最悪だ。どうとんぼり神座の無料券、財布にはさんでいた使えないじゃん!
しかし、店舗の前には10人近く並んでいたので食べずに移動を選択した思う。
ケチケチと昭和と「timelesz」
財布を忘れたショックを抱えつつ、そのまま地下鉄御堂筋線(北大阪急行線)に乗って千里中央駅で降りて、大阪モノレールにのって「万博記念公園駅」で降りた。
予定通り地下鉄からモノレールへ。
モノレールに乗った途端に「臨時便です」アナウンス。
車内を見渡せば、若い女の子だらけ。
おじさんは私一人。
肩身が狭いというか、完全に場違い。
嫌な予感がして、車内で調べたら万博記念公園の入場券は現金が必要。都内ならどこでもキャッシュレスなのに、ここは未だに昭和な空間か!
千里中央駅で降りて、コンビニでスマホを使い、現金を下ろす。
無料で引き出す回数は前回の出張でを使ってたので裏技を発動しました。
3万1千円おろして、3万円を入金。
我ながら究極のケチケチだ。
だって3万円以上じゃないと入出金無料回数が使えないんだもん!
公園入口に着くと、やはり女の子だらけ。どうやらイベント会場と公園入口は別だったけど、人の流れはイベントの方へ。
入場券売り場へ。JAF会員証を見せて50円引きの210円。
千円札を出したら窓口のおばちゃんに「千円でよろしいですか?」と聞かれました。
ああ、普通は10円出して小銭を少なくするよな。
ごめん、ケチケチすぎて1000円しか持ってない。
ゲートをくぐる前から太陽の塔は見えたので、中に入らなくてもよかったのかもしれない。究極のケチケチだ。
じいちゃん認定の衝撃と時の無残さ
中に入ると、太陽の塔の圧倒的な存在感。すかさず記念撮影して家族LINEに送りました。
すぐに娘から返信。「おじいちゃん!」
…ショックでした。
いや、分かっているんですよ。鏡を見なくても、写っているものが「おじいちゃん」だったのは。
1970年の大阪万博(日本万国博覧会)が閉幕した9月13日、私はまだこの世にはいなかった。心臓は動いていたけど。それから55年という時の流れ。無残ですよね。体は正直です。
大阪・関西万博のときと同じく、会場はとにかく広く、移動手段は歩くしかない。
いま花を楽しめる場所といえば、「花の丘」くらいだろう。
広大な敷地を歩き始めると、そこかしこに1970年当時のパビリオンの跡地の説明書き。55年前の夢の跡を、55年後に「おじいちゃん」と呼ばれる男が歩いている。
途中の道沿いには彼岸花が咲いていて、思わず足取りが和らぐ。
目に入るのはコキア。ただしここはひたち海浜公園ではなく、万博記念公園。
そのコキアも、まだ赤くは染まらず、鮮やかな緑のままだ。
コスモスはまだちらほらと咲く程度。そのうえ雨まで降り出してしまった。
もっとも、幸いにもすぐに雨はあがったのだが。
太陽の塔の裏側、通称「裏の顔」を見たかったんですが、なんかイベント参加する人々で埋め尽くされている。娘に教えてもらって判明。
timelesz(タイムレス)という8人組男性アイドルグループの大規模ファンミーティングだと。
おじいちゃんは知らねぇよ。女の子にもみくちゃにはされてないけど、完全にアウェイ。
電波も混雑で繋がりにくい。コークオンアプリで水を買おうとしたが自販機につながらない。たぶん人が多いので楽天モバイルの電波がなくなったんだ。最新のアプリを使おうとしても、群衆と古いインフラ(現金主義)に阻まれる。
結局、私はこの日、1970年万博の「過去」と、2025年万博が開催されているいまの「現在」、そして「おじいちゃん」になった「自分」という三つの時間軸を体感したんだと思います。時というのは常に流れ、誰にも平等に「老い」という名の印を残す。あの時の夢の跡は、今の自分にとって何なのか。
歩き疲れて新大阪へ戻り、ようやく神座へ。席は座り放題でした。今回は期間限定の「トリュフ香る 牛すき月見ラーメン」を注文。贅沢っぽいけど、すき焼きの甘いタレがスープをぶち壊していて「最悪だ」。肉はおいしいのに、なぜこの組み合わせにしたのか?
今回の出張は、コインロッカー争奪戦で始まり、財布を忘れ、おじいちゃん認定され、味がぶち壊しのラーメンで終わるという、散々すぎる一日でした。でも、この散々な出来事の一つ一つが、今の自分を正直に教えてくれました。
「焦るな、準備しろ、そして年を取ったことを受け入れろ」
これが出張が教えてくれた人生の教訓かもしれません。


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