親が死ぬということ21 みんな騙されている?

★☆★ みんな騙されている? ★☆★

1月某日

今年2回目の出張で仕事も終わりなんとか面会時間終了ギリギリ間に合いそうだったので父の入院している病院に向かった。前回会ってから2週間がたっている。もうだめかも知れないなと思いながら病室に入ると、前回の時よりもなんとなく悪くなっているような状態だった。

どう?と聞くと、それなりにしゃべり始めた。何を言い出すのかと思いきや
「OOちゃん、ごめんな、自分のことで精一杯で送れんかった・・・」
と泣きながら話し始めた。今月長女の誕生日だった。毎年手紙と僅かながらの現金を送ってきていた。状況が状況なだけにくるはずもないなと思っていた。実際には送ってくることはなかった。長女本人も正月に会って状況は分かっているはずだ。

次の子供の誕生日は次男坊の5月だ。その時に長女の分も合わせて送ると言っていた。父は5月まで確実に生き続けてくるれのだろう。希望があるだけ生きる活力になるので、3人目の次男坊も生んでいてよかったと思った。父は次男坊が高校に上がるまでは元気でいたかったと言った。

そして
「俺の病気なんなんだろ・・・」
私は肝臓がんであることと、そして癌が進行してのどの辺りまできているという事しか聞いていない。最初は3ヶ月、そして年を越せるかどうか分からない。そしてもう1月も終わろうとしている。寝たきりになっているものの感じるエネルギーはまだまだ「死ぬ」には程遠いものだと思っている。もしかしたらこのまま入院する前の父に戻るのではないかと密かに思っている。誰が聞いてもアホらしいと思うかもしれないのだが、0.0000001%の可能があるものならば、その可能性に賭けてみたいと思う。しかし何を賭けるのだろう?

きっと、誰かが我々家族を騙しているのだろう

最後に父は「俺は人生楽しかったけど、みんなは・・・」と言った。なんて言ったらいいのか分からない。父が楽しく生きられたのならばそれはそれでいいと思う。周りの人間は誰一人として不幸だったとは思っていない。